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2019年1月 8日 (火)

「アメーバ経営」「京セラ悪の経営術」を読んでみて

京セラについて2冊の本を読みました。

一つは、京セラの創業者、稲盛和夫氏の「アメーバ経営」(ISBN 4-532-31295-7)であり、当然ながら稲盛氏の「理想の京セラ」がかかれています。

もう一冊は、京セラに中途入社して6年間勤務された瀧本忠夫氏の「京セラ悪の経営術 急成長企業の知られざる秘密」であり、こちらは「京セラで勤務した実体験や内部で聞いた、著者が感じた生の京セラ」がかかれております。1999年発行で永らく絶版となっており(一部では京セラの圧力?なんて噂も)ましたが、Book Liveで電子書籍として配信されていたので、こちらで購入しました。

稲盛氏の「アメーバ経営」について概要と感想(書評)です。

    1. 採算がとれる最小単位のグループをアメーバに分けて、アメーバのリーダーが利益を上げられるように、売り上げを最大にして、経費を最小にするように努力して、時間当たり採算を高める。
      アメーバ間のやりとりも市場と同じように利益を乗せてやりとりをする。
    2. また、「大家族主義」「全従業員が生き甲斐や達成感をもって働く」という理想を掲げている。
    3. 営業部門の利益は、売り上げの10%を手数料としており、在庫は営業部門の責任で負担する。

1についての感想)
アメーバ間で、市場と同じように売買を行うということは、双方で利益相反が起こるかと思いますが、これについては稲盛氏は「リーダーは公正な審判となるべき」と記しており、理想論過ぎないかと思いました。

また、「時間当たり採算」が、有給休暇が取れない、休み時間に次の仕事の準備をするなどの噂があるが、これが原因かなと思いました。
有給休暇を取ると、労務費は増えても、仕事はしないので、採算が悪化する。休み時間に仕事の準備をすれば、採算が改善する。

2についての感想)
全体主義的になる危険性を危惧しました。

3についての感想)
営業が、在庫の責任を持つというのは、ただ注文を取ってくるだけで、採算などを考えない「無責任営業」が減るかと思います。

 

京セラ悪の経営術 急成長企業の知られざる秘密」では、上記の悪い部分を証明するような記述が多いです。

 

著者は、「けちけち経営」と京セラの経営体制を批判しています。
「けちな例として」

    1. 休日出勤、残業を行いにくいような制度にしている
    2. 有給休暇を認めない
    3. 仕事で必要な書籍、筆記用具などもアメーバの「時間当たり採算」を悪化させるため、自費購入させるようにしてある
    4. 無給で、掃除、草むしりを始業時間前に行わせる
    5. 生産機器や計測機器などが古いが、精神論を振りかざして購入を極力しない

感想
1999年に発行された書籍のため、労働基準法違反に対する厳しさが増す昨今では、「完全にアウト」なこともありますが、企業風土が簡単に変わるとも思えないので、形を変えて「けちけちな事」をやっているかもしれません。

稲盛氏の理想とかけ離れた「京セラの実体」

    1. 補助金の不正利用やリコール隠しなどが行われていた
        (稲盛氏は、知っていたように推測されるように記されている)
    2. 稲盛氏の著書や、出資した映画のチケットの購入を強制して、社員のに支払った費用を回収している
    3. 稲盛氏を「2枚舌、3枚舌」と発言した幹部社員がいたらしい。

感想
稲盛氏をあたかも「聖人」のように考えている今日の風潮からすると、稲盛氏もこれらが本当なら「人間なんだな」と妙に安心しました。

京セラの技術力

    1. 生産機器や計測機器が古いため、不良品率が高い。
    2. 稲盛氏の精神主義の影響か、考えずに設計していることが多く、自分で設計した回路の不具合も解析できない
    3. 兼務が非常に多い

感想
目先の採算を考えるあまり、「安物買いの銭失い」のようなことが、起きているのかなと思いました。兼務が非常に多いというのは、「仕事に集中できなそう」と思いました。

稲盛氏を教祖とする、宗教団体が「京セラ」みたいに思えてしまいます。少なからず、経営者は、教祖に近いものがあるかと思いますので、それはいいのですが、批判ないしは、別の視点で考えることをしないと「信者」(社畜とも言う)になってしまうのかなと思いました。

少なくとも今の会社でも、「反主流派」の私では、「大家族主義」などには、ついていけなさそうですので、「京セラ及びその子会社」や、「稲盛塾」に入っている社長さんの会社には、転職しないようにしたいと思いました。

また、瀧本忠夫氏は、このような暴露本のような著作を世に出すことは、勇気がいることだったと思います。内容も、生々しさを感じる内容で、あっという間に読んでしました。絶版になっていたのが、とても残念と思いまいた。

※稲盛氏は、多数の著書を出しておりますので、印税も入ってくるでしょうし、京セラからの配当などなんかで相当儲かっていると思いますので、「アメーバ経営」は購入せず図書館で借りて読みました。

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